昔々、あるところにジャッキーという拳法の達人がおりました。
ジャッキーが、まだ一重マブタだった若い頃、
木人拳という拳法にはまっておりました。
木人とは訓練用に作った木の人形のことです。
来る日も来る日も木人相手に鍛錬を積む毎日。
さすがに嫌気のさしたジャッキーは、
「もういやや!木ばかり叩くこんな生活!二重マブタに整形してハリウッドに進出するんや!二点埋没法や!片目3万円や!」
そう叫んで最後の一撃を無言の木人に打ち付け、
親友のデブ達と一緒に海を渡ってハリウッドに行ってしまいました。
残された木人・・・
寂しそうな木人・・・
小さな小さな木の妖精が羽を羽ばたかせてそばに来て言いました。
「なんてひとりぼっちで可哀想な木人さん。あなたを血の通った人間にしてさしあげましょう」
そういうとさっそく杖を振りかざし、キラキラと魔法を木人にかけてあげたのでした。
するとどうでしょう!あら不思議!
さっきまで木の棒だった人型が、みるみる人間のおっさんに変わっていき、
やがて鼓動が聞こえ、目や耳や口ができて、呼吸さえ始まったではありませんか。
木人のおっさんは一通り人間化を終えるといいました。
「やれやれ、おっさんかよ。せっかく人間になっておっさんかよ。」
申し訳なさそうに木の妖精が答えます。
「ごめんなさい。私まだ修行中で・・・」
「半人前かよ!まええわ。んじゃせめて良い名前つけてくれよ。木人おっさんじゃカッコ悪いわ」
おっさんのぶっきら棒なその要求を聞くと、妖精は何かひらめいたのか、ポンと杖を叩いて言いました。
「あらちょうどいいわ。可愛い名前をつけてあげましょう。」
「なんでおっさんに可愛い名前なんじゃ?酸いも甘いも噛み締めたこのおっさんに」
相変わらずイラつくおっさんに、妖精は優しく母親のように言いました。
「だって名は体を成すというでしょ。妖精が可愛い名前をつけたなら、貴方のおっさん臭い性格も容姿もきっと可愛く変わることでしょう」
「ふうん・・・そういうものかねえ。まええわ。なんでもいいから早よ名前つけとくれ」
たいして期待していないおっさんに、どこか楽しげな妖精が独り言のように囁きます。
「そうねえウフフ。できるだけ純粋無垢な方がいいわね。何も知らないピノッキオみたいな」
「早よせいや!ボケい!犯してまうぞ!小さすぎてどうやっていいかわからんが犯してまうぞ!」
木人のおっさんは今にも暴発しそうです。
「決めたわ!木の子供で、木(も)っ子!そう!あなたの名前はモッコ!」
そういうと妖精は再び杖を振りかざし、キラキラと魔法を木人おっさんにかけたのでした。

夕焼けがその日の空を染めていました。
妖精はもういません。
一人の男の子がトボトボ、トボトボ、山を下る一本道を歩いていました。
やがて夜の闇があたりを包み、男の子の足音だけが山の静寂を破る頃、
一人ぽつりと言いました。
「僕モッコ。木から生まれた何も知らない純粋無垢なモッコ。これからどうしよう。」
モッコの歩く道の先には街の夜景が見えていました。

明日?につづく。

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